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由比地すべり対策事業 その2

 富士砂防I

  対策事業のもうひとつは 「抑制工」 で、地下水の水位を下げて地すべりの動きを停止もしくは緩和させる方法である。横ボーリング工・集水井・排水トンネルの3つが行なわれている。
「横ボーリング工」・・・地表より削孔・設置したパイプにより、比較的浅い位置の地下水を排除する。
「集水井」・・・井戸の周りに放射状に設置したパイプにより比較的深い位置の地下水を排除する。
「排水トンネル」・・・地すべり面より下の堅固な地層にトンネルを設け、トンネルから設置したパイプに
より地中深い位置の地下水を排除する。

富士砂防K

 今回は、「排水トンネル」 施工中の現場を見学させていただいた。日本に数台しかない 「自由断面掘削機」 を使用するなど、最先端の技術を知ることができた。

富士砂防L

由比地すべり対策事業 その1

 さった山の急斜面は、地質的に脆弱で地すべりの起る危険性が高い。そこで、国土交通省は 「由比地すべり対策」 の事業を行なっている。先日、私も加入する土木の勉強会グループ 「研友会」 で、その現場を見学させていただいた。
 地すべりは、様々な要因 (地形・地質・地質構造・地下水など) が組み合わさって発生するため、地すべり対策工の種類も多岐に渡っているとのことである。大きく分けると 「抑制工」 と 「抑止工」 に分けられ、この両対策工を組み合わせて、効率的な対策を行なっているとの説明があった。

富士砂防I

 「抑止工」 は、構造物の持つ抵抗力を利用して、地すべりの動きの一部もしくは全部を直接止める方法である。ここでは 「深礎杭」 を採用している。深礎杭とは、地下に大きな杭を造り、杭の抵抗力で地すべりの移動を止めるものである。現在、直径5m、長さ37~88mという巨大な杭61基の整備を実施中である。左は完成、右はコンクリート打ちを行なっている状況の写真である。

富士砂防J

薩埵峠(さった峠)

 「さった峠」 は、東海道53次の由比宿と興津宿の間に位置する。さった山の標高は100mほどに過ぎないが海岸いっぱいに迫り出しており、旅人は急な坂道を難儀して越えていった。歌川広重の浮世絵には、厳しい崖の道を歩く人々と、駿河湾の向うに望む富士山が描かれている。
 明治になって国鉄の東海道本線が計画されるが、山裾の海岸に敷設せざるを得なかった。国道1号線も、線路に沿って走っている。戦後の東名高速道路は、岸辺に余地がないので海中にはみ出す形で建設された。掘削技術の進歩した近年は、東海道新幹線も新東名高速道路もトンネルによりこの山を通過している。

富士砂防G

 自然環境の厳しい場所には、美しい景色のところが多い。さった峠からの富士山は、息を呑むほど美しく、広重は見事にそれを描いている。東名高速道路のPR写真もまさに峠から撮影したもので、東京・名古屋間で最も魅力的な1枚になっている。
 しかし厳しい自然は、災害とも表裏一体である。この崖は地質的に脆弱であり、古くから地すべりの発生する場所としても知られていた。日本の最も重要な交通路がひしめくこの地に、大雨や地震による崩壊が発生するのは何としても避ける必要がある。現在、国による大規模な対策事業が展開されている。

富士砂防H

横浜の三渓園

 横浜市の中心から少し南へ行った本牧地区に、広大な日本庭園がある。「三渓園」 という。この庭園は、明治から大正にかけて製糸・生糸貿易で財を成した原富太郎 (号を三渓という) が造り上げ、明治39年 (1906) に公開したものである。
 もともとは、東京湾に面した “三之谷” と呼ばれる谷あい5万3000坪 (約17.5ha) の敷地に、池や芝生、園路や橋を配し、京都や鎌倉などから集められた17棟の歴史的建造物を建設した。周辺の小高い山や自然の樹林と調和した、見事な景観を見どころとしている。

三渓園G

 上左の写真は 「臨春閣」、紀州徳川家初代藩主が紀ノ川沿いに建てた数奇屋風書院造りの別荘建築である。桧皮葺の屋根の内部には、狩野派の絵師による襖絵などがある (複製・・・本物は三渓記念館で保存)。園路の飛石や沓脱石、石橋などには巨大な石が使用されている。
 ひときわ高い山の上に立つのは 「旧燈明寺 (とうみょうじ) 三重塔」、京都・木津川沿いの廃寺から移築した。三渓が岐阜県出身である縁から、白川郷でダム工事により沈むこととなった合掌造りの家 「旧矢箆原 (やのはら) 家住宅」 もこの地に移っている。
 三渓は、芸術家や文学者など文化人と広く交流したことでも知られている。この庭園は、美術・文学・茶の湯など近代日本文化の一端を育んだ場所でもある。平成19年に国の名勝に指定されている。

三渓園H


季節通信27葛

横浜の日産スタジアム

 正式には 「横浜国際総合競技場」 といい、ネーミングライツ (命名権) により 「日産スタジアム」 と呼ぶ。東海道新幹線の新横浜駅から徒歩15分ほどの位置にある。「第53回国体」 や 「2002FIFAワールドカップ」 開催を念頭に平成10年 (1998) に供用開始した。
 面積は約17ha、建物の高さは52m、観客収容能力は7万2327席と国内最大である。サッカーの横浜F・マリノスのホームグランドとしても知られている。一方、鶴見川の多目的遊水池機能も備えている。鶴見川の増水時には大量の水がスタジアムにも流れ込むため、観客が速く避難できるように安全なペデストリアンデッキ (人工地盤) が設備されている。

横浜G

 先だって、ラグビーのニュージーランド対オーストラリア対抗戦が開催された。学生時代プレーヤーだった私と、オールブラックス (ニュージーランドは真っ黒のユニフォーム) のウォークライ(ハカともいい民族の戦闘前の踊り)大ファンの妻は、何とかチケットを手に入れることができて観戦に行った。
 新横浜駅前から数珠繋ぎの観衆とともに、ワクワクする気持ちで入場した。見たことのない大きなスタンド、美しく刈り込まれた緑の芝生、すでに黒と黄色 (ワラビーズという) のジャーシーの選手が練習をしている。世界一を争う両チームの、期待通りの好ゲームを観ることができた。来年に迫った 「ラグビー・ワールドカップ」 の決勝戦は、この日産スタジアムで開催される。

横浜H
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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:「園長さんのガーデンライフ」
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