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天白川の橋その5

 天白川と扇川の合流地点にJR東海道線の鉄橋が架かっている。その10m程上流には、東海道新幹線が走っている。さらに500mほど離れて、東海道すなわち国道1号線が通っている。この3本は、我が国で最も重要な輸送路であり、この地点に災害などが発生して通行止めともなれば、大問題になること間違いない。
 国道1号線に架かる橋を 「大慶橋」 と呼ぶ。緑色に塗られた桁橋に、こげ茶色のガードパイプというシンプルな景観である。橋の端には、いわゆる 「親柱」 というようなものは見当たらず、橋の名前の刻まれた 「橋名板」 もついていない。自動車道路にとって橋は、特別なポイントではなく、通常の路線と同じ通過地点にすぎないのだろうか。

東海道線10

 新幹線のすぐ上流、天白川右岸の堤防の上に 「牛毛神社」 が鎮座している。もともとこの地は、天白川の砂州の発達した所だという。説明版には、創建は文政5年 (1823) と記してあるが、一説によれば太閤検地 (1582~95) のころには既にあったのではないかと考えられている。祭神は須佐之男命とあり、牛頭天王を祀ったものという。
 牛毛の名前は、ここが牛毛海岸のある牛毛村であったことに由来する。昔からの語り伝えによると、津島神社の御神符が毎年のように海岸に流れ着いたことから、村人はこれを神の御神意と解して社を建てたのだという。境内には、大きなムクノキが聳えていた。

東海道線11

豊明の湿地その2

 本命はこちらである。「赤花のナガバノイシモチソウ」、日本固有の新種であり、愛知県の天然記念物に指定されている。白花の種類は各地に自生しているが、赤花はとても珍しく、ここの他には豊橋市の一部に知られているにすぎない。ネットフェンスに囲まれた保護地は、小学校の教室ほどの狭いものであり、植物を踏まないようにデッキが張り巡らされている
 モウセンゴケ科の食虫植物であるが、名のとおり葉が長く、その表面にある腺毛から甘い匂いの粘液を分泌して昆虫を捕まえてしまう。右の写真は、ちょうど飛んできた蝶が粘液に張り付いてしまい身動きできなくなってしまった状態である。

豊明湿地その2マップ

 モウセンゴケ、ミミカキグサや、このイシモチソウなどの食虫植物は、いずれも極々小さな植物である。通常の肥沃な土壌では、とても他の大型植物には太刀打ちのできない弱い植物である。しかし、この湿地などのように、粘土層の表面に酸性の水が湧き出すような条件の悪い土地では、他の植物が生育できないために、昆虫を栄養とするよう進化した食虫植物が勝ち残ったのである。このような植物の分布を 「消極的生存競争」 という。
 知多半島から名古屋東部にかけての丘陵地帯には、このような湿地帯が数多く存在した。しかし、宅地などの開発に飲み込まれて消滅し、わずかな保護地でしか見られなくなってしまった。      
 下の写真は左からナガバノイシモチソウ、サギソウ、ヌマトラノオで、ちょうど花盛りであった

豊明湿地その2A

豊明の湿地その1

 豊明市にある2つの湿地を見学した。夏のこの時期5日間しか公開されない貴重な機会である。横浜からわざわざここを見るために来名した食虫植物研究家をご案内したのである。場所は、名古屋市の東どなりの豊明市、緑区勅使ケ池緑地の近くである。地下鉄徳重駅に近いが、公共交通機関がないので、どうしても車が頼りとなる。
 湿地は2か所あり、ひとつは 「大狭間湿地」 と名付けられている。豊明市側の 「勅使墓苑」 (名古屋市の墓苑 「勅使ケ池緑地」 とは異なる) に近く、その駐車場に車を止めてから徒歩10分ほどのところにある。

豊明湿地その1マップ

 面積は広くて、学校の運動場ほどもある。何本かの細道があり、一部は木道になっている。自然のミズゴケが生え、モウセンゴケやミミカキグサなどの食虫植物も見ることができる。ミズギクやミズギボウシといった湿地の植物も花が咲いていた。8月終わりから9月にかけて、一面を真っ白に染めるというシラタマホシクサは、まだ小さな蕾であった。
 今回の収穫は、ハッチョウトンボの雌を撮影できたことである。これまで、赤くて綺麗な雄は見たことがあるが、地味な色合いの雌は見たことがなかった。
 下に写真を添付します。長さ2cmほどの世界一小さなトンボです。もう2枚は黄色の花が咲くミミカキグサと、紫色のホザキノミミカキグサです。いずれも5cmほどと小さい食虫植物です。

豊明湿地その1A

天白川の橋 その4

 この地域の大動脈 「名四国道」 は、平面道路の橋を両側から挟むように、上下線が分離して架けられていて、3本の橋が重なっている。ここから上流を眺めると、川の中ほどに流れを分離するような中堤が見える。これは、この地点で合流する扇川を分流するための堤防である。
 この両川を跨ぐように、歩道橋が架けられている。青く塗られた2連のアーチ橋で、「大星橋」 という。石の親柱の左側に 「大星橋」、右側に 「天白川・扇川」 と記してある。

大星橋B

 扇川は、緑区藤塚の大池から発してこの地点まで、約10kmを流れる二級河川である。水源の大池は公園と一体となり、上流部の両側は緑道として桜並木の散歩道になっている。植栽後30年ほど過ぎたソメイヨシノはすくすくと育ち、今では新しい桜の名所になりつつある。
 少し戻って、須佐之男神社の隣に 「源兵衛公園」 という街区公園がある。この公園の砂場に、ブルーのシートがかけられている。これは、犬や猫の排便が砂の上で行なわれて、砂が汚染されるのを防ぐ目的で設置されたものという。砂場の外周を柵で囲う方法や、定期的な砂の清掃などが比較検討された結果、最も有効な方法と考えられている。

大星橋C

天白川の橋 その3

 名鉄常滑線は、現在では中部国際空港セントレアへ送迎する 「特急ミュースカイ」 が走る路線としても知られている。柴田駅のすぐ南に、天白川を跨ぐ鉄橋 「天白川橋梁」 が架かっている。青く塗られたトラス橋に、「天白川橋りょう」 と白ペンキで書かれている。道路に架かる橋の名称は 「○○橋」 というのに対して、鉄道の橋は 「○○橋梁」 と呼ぶようである。
 白ペンキの文字の下に、厚いプレートが熔接されている。建設時に記録として取り付けられたもので、名古屋鉄道株式会社・1962・支間48.00などの文字を見ることができる。建設を担当した宮地(?)工業や使用した材料についての記載もあった。

名鉄 天白川1

 常滑線と並んで架かる国道247号線の橋は 「千鳥橋」 という。そこから名四国道までの間の右岸 (川の上流から見たときの右側) に 「須佐之男神社」 がある。「須佐之男尊」 は神話に登場するイザナギ尊・イザナミ尊の子供で、天照大神の弟に当たる人物である。出雲の国で八岐大蛇 (やまたのおろち) を退治した英雄でもあるが、田や畑を荒らした凶暴な神としても知られている。
 この神社の鳥居の近くに大きな公孫樹 (イチョウ) の木が聳えている。根元に “むらの児とひねもす遊びしこの宮の巨 (おお) き公孫樹は神さびてたつ” との歌が掲げられていた。イチョウは、老木になると樹皮が気根のように垂れ下がる。これは 「イチョウの乳」 とよばれているが、まだ、植物学的な意味は明らかになっていない。

名鉄 天白川2

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 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:「園長さんのガーデンライフ」
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