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鶴舞公園菖蒲池

 鶴舞 (つるま) 公園は、明治42年11月に開園し、翌43年3月から3か月間 「第10回関西府県連合共進会」 という一大イベントが開催された。この博覧会は、これをきっかけに名古屋が大いに発展したと言われるほど盛大なものであった。ちなみに入園者数は約260万人、当時の名古屋市の人口41万人と比較すると、その盛大さが理解できるであろう。
 ただ、公園が現在のような形になったのは、それから10年ほどの整備工事の後である。イベントのパビリオンが撤去された後、西側部分は噴水塔と奏楽堂を残してシンメトリーなフランス式庭園が造成された。東側は一転して日本庭園となる。胡蝶が池に架かる鈴菜橋を渡ると 「菖蒲池」、さらに竜が池、八幡山古墳へと続くのである。

鶴舞菖蒲

 菖蒲池のハナショウブは、戦前からかなり有名であったという。戦時中は、食料供給のため芋や麦の畑になってしまった。戦後から修復を始め、昭和25年には北半分が復元でき、苗の購入も続けられた。昭和27年には中の島や八橋も完成し、ようやく今のような菖蒲池が完成したのである。
 ハナショウブの最盛期は6月上旬、奏楽堂南に咲くバラとともに毎年多くの行楽客を迎えている。

鶴舞菖蒲B

鶴舞菖蒲マップ

諸戸水道貯水池遺構

 北勢線 「馬道駅」 から 「西桑名駅」 へ向かう途中に、この遺構があった。桑名の町を見下ろす小高い丘の上、広大な諸戸邸の近くである。明治時代に桑名の豪商諸戸清六氏 (初代) は、水に困っていた地元の人たちのために、私財を投じてこの水道施設を整備したのだという。

諸戸水道

 明治32年 (1899)、自家用の水道を敷設するとともに、町民の使用に耐えうる水量を確保し、明治37年、町内に55か所の給水栓と24か所の消火栓を設置して無料で開放した。煉瓦造の貯水池は、東西13.4m、南北23.2m、深さ3.6m、約950トンの水を蓄えることができる。全国で7番目に建設されたこの水道施設は、大正12年 (1924) には町に寄贈され、昭和4年まで使用された。

諸戸水道B

 貯水池は2つの部屋に分かれており、それぞれの部屋をジグザグに水が流れるような構造になっている。古い図面を見ると、貯水池の上に木造の上屋が描かれている。写真で見る富士山型のレンガ積みが上屋の基礎になっていたのであろう。諸戸邸に接して小さな公園広場があり、そこからフェンスで囲まれた貯水池を見ることができる。

諸戸マップ


めがね橋(三岐鉄道・北勢線)

「ねじり橋」 から約200m、5分ほど田圃の畦道を進むと 「めがね橋」 である。全国にめがね橋と呼ばれる橋は数多くある (有名な長崎の眼鏡橋など) が、コンクリートブロック製のものはたいへんに珍しいという。平成21年度に 「ねじり橋」 と合わせて土木学会選奨の土木遺産に指定されている。

めがね橋A

 めがね橋はねじり橋とともに、楚原駅以西に鉄道が延伸された大正5年に竣工している。形式は三連式のアーチ橋である。前景の水田、背景の樹林などとても景色がよいので、鉄道マニアにとっては北勢線の代表的な撮影スポットになっている。

めがね橋D

 このあたりは、藤原岳から流れてくる員弁川の流域である。山も近く、自然性ゆたかなせいか、野生のサルが歩いていた。3匹の家族連れで、人にも慣れているのか、近づいても逃げようとしない。貴重なナローゲージの北勢線とともに、ぜひとも残してほしい景色である。

めがね橋マップ




ねじり橋(三岐鉄道・北勢線)

 西桑名駅から40分ほどで楚原駅に到着する。そこから住宅地を15分ほど歩くと 「ねじり橋」 に至る。員弁川の河岸段丘の下部に、江戸時代に造られたという 「六把野井水」 が流れている。北勢線がこの井水を斜めに渡るために設けられた橋が 「ねじり橋」 である。この橋は、ブロックによるアーチ橋であるが、橋が斜めに架かっているため “ひねり” を入れて積んである。この構造は 「ねじりまんぽ」 と呼ばれている。

ねじり橋A

 「ねじりまんぽ」 とはひょうきんなネーミングであるが、その意味は? 「まんぽ(manpo)」 とは、線路の下をくぐるための小さなアーチ・トンネルのことである。レンガやブロックで斜めのトンネルを造ろうとすると、重力をアーチ全体に伝えるために “ねじって” 積む必要があるといわれている。このような 「ねじりまんぽ」 は全国に25か所ほど知られているが、コンクリートブロック製のものはこの 「ねじり橋」 が唯一の存在である。非常に貴重なものであるとして、平成21年度に土木学会選奨の土木遺産に認定された。

ねじり橋C

ねじり橋マップ
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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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