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那古野山公園(旧浪越公園)

 日本の公園制度は、明治6年 (1873) に、時の太政官が各府県に出した 「布達」 から始まったといえる。“都会において、これまで多くの人々が観賞遊覧していた景勝地や名所古跡地などを、永久に全ての人たちが偕楽の目的に供する 「公園」 というものにするように” というお達しである。
 この制度によって、東京の上野寛永寺境内や京都の八坂神社境内などが公園となった。名古屋では、布達から6年経った明治12年に大須門前町の清寿院後庭が公園となった。これが名古屋市内第一号の 「浪越公園」 である。

那古野山公園マップ

 この公園は明治42年、鶴舞公園開設の年に廃止となった。しかし大正3年には、その一部の小山部分だけを新たに 「那古野山公園」 と命名して今に至っている。この小山は前方後円墳と推定される 「那古野山古墳」 の円墳部分だけが残されたものである。
 公園の西に接して 「大須演芸場」 の裏口がある。半世紀もの長い歴史をもち、多くの芸人の応援を得ながらも、今また、閉鎖の危機に陥っている。若き日のミヤコ蝶々が、芸に悩むたびに、この公園で心を癒したという逸話も残っている。

那古野 大須演芸場

堀留下水処理場

  久屋大通の南端、若宮大通の南に堀留下水処理場がある。名古屋の下水道は、大正元年 (1912) に供用が始まった。当初は、汚水を堀川や精神川 (しょうじがわ=現在の新堀川) にそのまま放水したので、川の水質悪化の原因となった。下水を浄化するため、昭和5年、熱田とこの堀留に下水処理施設が運用を開始したのである。
 処理の方式は活性汚泥法で、我が国最初の試みであった。写真は熱田ポンプ所に設置されていた 「ゐのくち式渦巻ポンプ」 (東京帝国大学の井口在屋教授が明治38年に発明) で、昭和2年から50年間使用されていたものである。現在は 「下水道供用開始百周年記念」 のモニュメントとして堀留下水処理場の東北角に設置されている。

堀留下水処理場マップ

 戦後、下水の処理量が大幅に増えたので、昭和48年に隣接する前津公園の地下に増設をした。現在は、その上部に 「ランの館」 の庭園部分が設置されている。ランの館は、オープンから15年を経て廃止となり、来年度からは新しい魅力施設として再出発することとなっている。

堀留下水処理場1

旧東山配水塔

 千種区覚王山の山頂に 「東山給水塔」 が聳えている。この塔は昭和5年に建設されたもので、高さ約38mの鉄筋コンクリートづくりである。木曽川の犬山取水口から鍋屋上野浄水場へ送られた水を、覚王山地区の高台に配水するための施設であった。
 しかし、昭和48年にはその役割を終え、昭和54年からは災害時用の応急給水施設になっている。約10万人が1日使用する水量に当たる300トンの水が常時蓄えられている。名称も配水塔から給水塔に変っている。

東山配水塔 トリミング

 建設当時の塔頂部は平らであったが、昭和58年の修繕時に尖塔状の屋根が乗せられた。一般市民が登ることのできる展望施設も併せて造られている。年2回、3月の春分の日と8月1日の水の日に解放される。
 コンクリート壁一面にツタがからみついていて、夏は緑の葉を、秋はみごとな紅葉を見せてくれる。昭和60年には、国の 「近代水道100選」 に選ばれ、平成3年には、名古屋市の 「都市景観重要建築物」 に指定されている。また、土木学会選奨の「土木遺産」にも選定されている。

東山配水塔マップ

旧稲葉地配水塔

 名古屋市中村区の稲葉地公園に、白亜で円筒形の5階建ビルが聳えている。この建物は昭和12年 (1937) に水道の配水塔として建設されたものである。
 この頃、名古屋市は急速に都市化が進み、西部地域の水道需要が大幅に増加した。配水塔は5階部分が水槽になっていて、約4000トンの水を蓄えることができる。夜間電力で汲み上げて、自然流下により供給するのである。その重さを支えるために、16本の円柱をもつ構造となった。

稲葉地1

 ところが、この給水施設は完成してたった7年後の昭和19年に使用休止になってしまった。それは、大治浄水場にポンプ圧送式の給水施設ができたためである。その後この建物は、昭和40年に中村区の図書館として改修され、長く市民に親しまれることとなる。

稲葉地2

 そしてさらに平成3年、中村図書館が中村公園に移転したため、再び空き家になってしまった。名古屋市では、平成元年にすでに 「都市景観重要建築物」 に指定されていたこの建物を再利用すべく検討が進められた。
 この年の暮れに市長と対談した天野鎮雄氏 (愛称アマチンさん) のご意見により市長が決断し、「演劇練習館」 として再出発することとなった。平成7年に改修を終え、「アクテノン」 の愛称で3度目のお役目を果たしているのである。

稲葉地マップ

大須(真福寺)文庫

 名古屋城と熱田神宮の中間地点に大須の町がある。江戸時代から大須観音の門前町として栄えた歓楽街で、今もユニークな商店街として賑わっている。

大須観音1

 この大須観音 (真福寺) に日本で最も重要なお文庫 「大須文庫」 があることを知る人は意外に少ない。本堂の左翼 (東側) に木の看板が掲げられているが、本堂の賑わいとは裏腹にひっそりとしている。しかし、ここには、国宝 「古事記」 (真福寺本=現存する最古の写本) や40点以上の重要文化財を含む約15000点もの古典籍が収蔵されているのだ。
 この寺院は、もともとは木曽川中州の岐阜県羽島にあった。しかし、この地は地盤が低く、たびたび水害に襲われていた。徳川家康はこの貴重な蔵書を水難から守るため、慶長17年 (1612) に新しい城下町・名古屋にお寺ごと移転したのである。

大須観音2

 古事記は、かつて東京国立博物館に収蔵されていた。これは、大須観音では充分安全な保存が困難であるとの配慮であったが、名古屋市博物館の完成と名古屋市民の熱意が実を結んで、今は名古屋に帰されている。一昨年、名古屋市博物館で 「古事記1300年・大須観音展」 が開催された。これは大須観音の移転400年を記念するものであった。

大須観音マップ

瑞穂公園ラグビー場

 昭和25年 (1950)、名古屋市を中心に愛知県下7都市において、第5回国民体育大会が開催された。開催のきっかけは、まだ終戦間もない昭和23年ごろ、“荒れ果てた町は殺風景だし、市民の心も荒んでいるので、国体を誘致して元気を出そうじゃないか” と市長や当局者が考えたことに始まる。
 会場は、瑞穂運動場を拡大整備するとともに、金山体育館 (現在、市民ホールのある場所) を新設したり振甫プールを改造して充てることとした。瑞穂公園には、5万人収容のメイン会場たる陸上競技場を整備し、また、3千人規模のスタンドを持つラグビー場を新設することとなった。(平成2年に改築され、現在は1万5千人収容)

瑞穂ラグビー場1

 国内では、東京・秩父の宮ラグビー場や大阪・花園ラグビー場に並ぶ歴史のあるグランドであり、各種の大会が行われている。「全国地区対抗大学ラグビーフットボール大会」 は、瑞穂ラグビー場創設とともに始まり、今年で第64回を数えている。毎年正月2日、4日、6日が開催日となっている。全国レベルの 「トップリーグ」 が開催されるとともに、地元の学生や社会人のラグビーメッカでもある。
 かつて、ラグビーの人気は高く、早・慶・明などの大学対抗戦は国立競技場を満員にするほどであった。ところが、Jリーグが始まったころからサッカー人気に押され、また、“きつい・きたない (泥だらけ) ・ケガがつきもの” といった3Kが若者に嫌われるせいか長く低迷が続いてきた。しかし、2019年 (東京オリンピックの前年) にワールドカップの日本開催が決まっており、再び人気が高まることが期待されている。

瑞穂ラグビー場マップ

年賀状

 新年お目出とうございます。昨年3月にスタートしたこのブログも、もう10か月間連載しています。月に5~7回、これまでに60回更新しました。読んでくださる方もだんだん増えてきて、最近では月に約1000件のアクセスがあります。
 先人の創意工夫や努力により築かれ、地域の方々に守られてきた「土木文化」を、少しでも多く皆さまにご紹介できればと思います。今年もできるだけあちこちに足を運び、ブログの更新を続けますので、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。
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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:「園長さんのガーデンライフ」
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