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輪中(わじゅう)の農家

 愛知・岐阜・三重の境に位置する木曽三川公園・センター地区に再現された農家である。明治の中ごろまで生活していた、比較的裕福な家である。
 木曽・長良・揖斐の三川が集まるこの地域は、昔から毎年のように洪水が起きていた。人々は集落の周りに堤防 (輪中堤という) を築いて災害を防いだが、それでもしばしば堤防が切れたので、屋敷の一部に高い石垣をつくり、その上に 「水屋」 を建てて災害時に備えた。

輪中1

 母屋の軒先には、木製の舟を乗せていた。「上げ舟」 という。水かさが増してくると舟を下ろして庭先のカキの木 (舟つなぎ柿) に繋いで準備をし、家財道具を乗せて堤防まで運搬するのである。家財道具は二階にも運び上げるのだが、重量のある仏壇は簡単には持ち上げることができないので、天井を外して滑車とロープで二階まで引き上げる装置をつくった。「上げ仏壇」 という。
 現在は3河川とも、頑丈な堤防ができたので、このような農家はなくなってしまった。このモデル農家は、「宝暦の治水」 や 「薩摩義士」 に感動した多くの人たちの寄付により再現したものである。

輪中マップ

養老天命反転地

 養老駅から滝までの途中に、広大な野外空間がある。普通の公園やテーマパークとは趣を異とし、リーフレットには 「実験的アートプロジェクト」 と記してある。かの鬼才・荒川修作とそのパートナーで詩人のマドリン・ギンズが残した作品である。
 すり鉢状の起伏ある大地に、迷路のようなオブジェが点在する。この不思議な空間は、人間のもつ遠近感や平衡感覚を狂わせ、新しい身体感覚を得られるように設計されている。平成7年 (1995) の開園当初には、バランスを失って転倒した人が続出したという。

天命反転地マップ

 荒川修作 (1936~2010) は愛知県出身、旭丘高校卒業のモダンアーティストである。20代中頃に渡米し、以後ニューヨークに定住する。1970年にヴェネツィア・ビエンナーレで、文字や記号で構成された前衛絵画 「意味のメカニズム」 を発表し、一躍、世界的なアーティストとなる。その後、建築などの立体的作品に移行し、大地に築き上げた記念作品がこの 「天命反転地」 である。

天命反転地

養老鉄道養老線

 養老といえば養老の滝。滝の水がお酒になったという孝子物語で有名である。古くから広く知られていて、続日本紀にも、元正天皇が噂を聞いて行幸されたとの記事がある。また、江戸時代には、葛飾北斎が浮世絵として書き残してもいる。高さ約30m、幅約4mの滝が巨岩・老樹の中を流れ落ちる。尋ねたのは11月末、ちょうど紅葉の真っ盛りであった。

養老マップ

 養老鉄道は、岐阜県・揖斐駅を発し、途中大垣駅で東海道本線と交差した後、三重県・桑名駅へと進む約58kmの地方鉄道である。養老山脈と揖斐川に挟まれた細長い平野の真ん中を通っている。ところが中ごろの鳥江駅を過ぎると急に直角に曲がって山へと向かって行く。たぶん、養老の滝への観光客を、滝の近くまで運ぶ役割をもっているのだろう。養老駅のホームには、孝行息子がお酒を酌んだという瓢箪がたくさん吊り下げられていた。

養老E

伊勢神宮の樹林

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。このブログも足掛け3年目に入ります。みなさまにご愛読いただけますよう、さらに充実した話題を掲載してまいります。
 さて、昨日の大晦日には熱田神宮の話題を載せました。今日元旦は、伊勢神宮の話題です。伊勢神宮は一昨年、20年に一度の式年遷宮を終えました。社殿全てを建て替えるほか、あらゆる御装束神宝も一新します。これは、永遠に再生を繰り返す 「常若」 の心を形にしたものといわれます。

伊勢神宮A

 一方、社殿を取り囲む樹林は、太古から保全されてきました。日本列島西南部に自生する 「照葉樹林」 が広大な面積で残されています。こちらは、 「悠久」 の心だと思います。総面積は約5500ha、その中でも内宮、外宮を取り囲むそれぞれ約90haは 「神域」 と呼ばれ、樹木の伐採は絶対に行いません。そのため、参道沿いには直径が2mを越すようなスギやクスノキの大木が林立しています。

伊勢神宮マップ

 私ごとですが、私は今年で “数え年70歳”、いわゆる「古稀」を迎えました。杜甫の詩にある “人生七十古来稀なり” からの言葉です。しかし、昔と違って寿命が長くなり、老人が多くなった現在、70歳では 「稀 (まれ) 」 とはいえません。体力・気力ともに、まだまだ若さを保っている人が多いと思います。ちなみに私は今、名古屋工業大学の大学院に入学し、若い学生と一緒に学んでいます。修士論文の研究テーマは、「伊勢神宮外宮の樹林景観に関する研究」 です。伊勢神宮にあやかって、「常若」 と 「悠久」 の精神で歩んでいきたいと考えています。

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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:「園長さんのガーデンライフ」
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