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天白川の橋 その3

 名鉄常滑線は、現在では中部国際空港セントレアへ送迎する 「特急ミュースカイ」 が走る路線としても知られている。柴田駅のすぐ南に、天白川を跨ぐ鉄橋 「天白川橋梁」 が架かっている。青く塗られたトラス橋に、「天白川橋りょう」 と白ペンキで書かれている。道路に架かる橋の名称は 「○○橋」 というのに対して、鉄道の橋は 「○○橋梁」 と呼ぶようである。
 白ペンキの文字の下に、厚いプレートが熔接されている。建設時に記録として取り付けられたもので、名古屋鉄道株式会社・1962・支間48.00などの文字を見ることができる。建設を担当した宮地(?)工業や使用した材料についての記載もあった。

名鉄 天白川1

 常滑線と並んで架かる国道247号線の橋は 「千鳥橋」 という。そこから名四国道までの間の右岸 (川の上流から見たときの右側) に 「須佐之男神社」 がある。「須佐之男尊」 は神話に登場するイザナギ尊・イザナミ尊の子供で、天照大神の弟に当たる人物である。出雲の国で八岐大蛇 (やまたのおろち) を退治した英雄でもあるが、田や畑を荒らした凶暴な神としても知られている。
 この神社の鳥居の近くに大きな公孫樹 (イチョウ) の木が聳えている。根元に “むらの児とひねもす遊びしこの宮の巨 (おお) き公孫樹は神さびてたつ” との歌が掲げられていた。イチョウは、老木になると樹皮が気根のように垂れ下がる。これは 「イチョウの乳」 とよばれているが、まだ、植物学的な意味は明らかになっていない。

名鉄 天白川2

天白川の橋 その2

 伊勢湾岸道路には、北から、新しく開通した名古屋高速道路四号線・東海線が東海ジャンクションで合流する。この高架道路は、県道55号線の上部を走っており、天白川を跨ぐ橋梁は2本が重なるように架かっている。県道に架かる橋は、「天白大橋」と呼ぶ。

天白川9

 天白川下流域、国道1号線あたりまでを地図で見てみよう。西から名高速4号東海線と県道55号線が重なって走っており、その隣に臨海鉄道南港線が通っている。少し離れて名鉄常滑線の鉄橋が架かり、並行して国道247号線が走っている。さらに上流には名四国道、JR東海道本線および新幹線、国道1号へと続いていく。とにかく、名古屋の主要幹線の多くが天白川を渡っているのである。

天白川下流マップ

 名古屋臨海鉄道南港線は、港区の東港駅から知多市の知多駅までの11.3kmを走る貨物専用の鉄道である。トラック輸送がまだ活発になる前の昭和44年(1969)に開通した。工場への引込み線も多く敷設されたが、現在は化学薬品や石灰石の運搬など1日数往復が運行しているにすぎない。天白川の鉄橋でしばらく時間を過ごしたが、列車を見ることはできなかった。

天白川8


天白川の橋 その1(変更)

 天白川は、日進市の米野木あたりから流れ出して名古屋市東部を縦断した後、西に向きを変えて名古屋港へと注いでいく。河口では、名古屋港ワイルドフラワーガーデン 「ブルーボネット」 のある潮見埠頭にぶつかって左折し、伊勢湾岸道路の 「名港東大橋」 の下をくぐって伊勢湾へと流れていく。全長22.7kmの二級河川である。
 東大橋は 「名港トリトン」 の一つで、今年3月12日のブログで紹介した。そのときは、高速道路を走りながら(助手席から)の撮影であったが、今回は下から見上げての撮影である。斜張橋の斜めのワイヤーが美しい構造美を見せている。

天白川5

 潮見埠頭は、9号地とも呼ばれる埋立地で、石油産業などの危険物を扱う工場が集積している。面積210haのうち、約5分の1の43haは中部電力の 「新名古屋火力発電所」 である。その北端にある 「ブルーボネット」 は、もともとは工場立地法により義務付けられた緑地の一部である。中電は、この緑地を単なる樹林でなく、市民サービス施設として捉え、四季折々に楽しめる 「花飾りの庭園」 として整備したのである。
 ブルーボネットは、面積約2haとあまり広くはないけれど、中央に小川の流れる 「花の谷」 を始め、有名造園家などのデザインによる22のガーデンに分かれていて、個性的な花壇を鑑賞することができる。ガーデン埠頭からの水上バスや金山、新瑞橋からの市バスによっても行くことができるが、車なら潮見橋を渡ったり、伊勢湾岸道路潮見インターからでも便利である。
 私事ですが、名古屋市退職後5年間、このガーデンで園長を務めさせていただいた。

天白川6ブル
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 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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