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妙仙寺山門と臥龍の松

 岩崎城の東隣に丹羽氏の菩提寺「妙仙寺」がある。城址公園には、明治40年に妙仙寺和尚の記した「古城の趾」という石碑が立っている。落城の日の4月9日には、討死した城兵の慰霊祭が今も続けられているという。
 妙仙寺の山門は、三間一戸の楼門の形式である。楼門とは二階を持つ門をいう。寛政5年(1793)に再建された後、数度の改修を受けながら今日に至っている。幕末のころ、赤穂四十七士の姿を描く天井画が張られたが、今は取り外されて当寺に保存されている。

妙仙寺マップ

 山門を入り、本堂へと進む石畳の右に見事な松の木がある。まるで龍が横たわっているような姿をしているので「臥龍の松」と呼ぶ。高さ6.7m、枝張りは約12m、幹周りはなんと2.5mもある。日進市にあるクロマツでは最も巨木で、樹齢は400年と推定されている。
 巨樹の周りは、踏圧によって根が傷まないように、御影石の柱とチェーンによる柵が施されている。枝は多くの支柱丸太により保護されている。その丸太の根元に御影石の台座が据えてあるが、水がたまって腐らないように、排水用の切れ込みが入っている。古木を大切にする心とデザインマインドが垣間見えて、素晴らしい文化財だと感じた。

妙仙寺G

岩崎城跡

 岩崎川は、日進市と長久手市の境・県農業試験場あたりに端を発し、日進市役所近くで天白川と合流する。岩崎川北の小高い丘の上に岩崎城跡があり、現在は「岩崎城址公園」として整備されている。
 城跡に登ると、眼下に岩崎川・天白川流域の平地が広がるのを見ることができる。現在は、名古屋市東隣りの住宅地として、多くの家々が建ち並んでいる。しかし、往時は激しい戦いの行なわれた地であった。

岩崎城G

 天正12年(1584)、羽柴(豊臣)秀吉と織田・徳川連合軍が戦った「小牧長久手の合戦」において、連合軍方についた丹羽氏はこの城の留守を預かっていた。そこへ秀吉方の池田隊が攻め込み、守備の城兵全員が討ち死にしたのである。
 以後、この城は廃城となり、そのままの形で荒れ果ててしまった。昭和59年、落城400年の記念大祭が行なわれたのを機に、歴史公園とする方針が決まった。今もわずかに形態を残す空堀などを保存しつつ、天守閣や歴史記念館などが新しくつくられている。

岩崎城マップ

瀬戸のホフマン工事

 アメリゴ・ホフマン(1875~1945)は、イタリア生まれの森林学者である。明治37年に招かれ、東京帝国大学の教師として治山工事などを指導した。明治42年(1909)に帰国した後、イタリア森林庁林野局の総局長などを務めている。
 当時尾張地方、特に瀬戸一帯にはハゲ山が広がっていた。陶土の採掘や窯での燃料として森林が伐採されたのである。愛知県がハゲ山復旧のための設計を東京帝国大学農科大学に依頼したところ、2人の学生の卒業論文が提出され、その方針に従って治山工事が進められた。

ホフマン工事G

 この設計は、ホフマンが指導したので、彼の名を採って「ホフマン工事」と呼ばれている。この工事は、5か所の「土堰堤」と45か所の「柳柵」を設置するものである。当時オーストリアやフランスなどで用いられていた手法で、山肌への植栽は行なわず、侵食や崩壊を防ぐだけで、自然に森林を蘇生する方策である。
 この地を歩いてみると、今はマツやコナラなどの雑木林が広がっており、赤土や粘土の地肌を見ることはできない。現在では、さらに進化した治山技術が行なわれているが、ホフマンの工事はその後の発展に大きな影響を与えたと言われている。(写真は全て、現地の説明看板から転用)

ホフマン工事マップ


季節通信38杉花粉

鹿乗橋

 春日井市と瀬戸市の間、庄内川にかかる古い橋がある。「鹿乗橋(かのりばし)」という。完成は明治43年(1910)、全長73m、幅員が4.5mと狭いので現在は春日井から瀬戸への一方通行となっている。
 解説書などによると、“明治時代に造られた11のスチールアーチ橋のうち、現存するひとつとして貴重な存在”とある。木が茂っていて橋の下部は見づらいが、隙間から眺めてみると鉄ではなく、骨太のコンクリート製のアーチが見える。

鹿乗橋マップ

 この橋は、「メラン工法」という工法で建設されたものである。この工法は、「メラン材」と呼ばれる鋼製アーチをあらかじめ架設しておき、これをコンクリートで巻き上げていくのだという。40年ほど過ぎた昭和26年(1951)に、老朽化してきたアーチ部分をコンクリートで補強もしている。そのためか、全体がコンクリート橋に見える。
 多治見から岡崎の間は、現在は愛知環状鉄道により結ばれているが、かつてはバス路線が走っていた。昭和5年(1930)に、全国初となる省営(鉄道省経営)によるバスが営業を開始したのである。岡崎~多治見間、瀬戸記念橋~高蔵寺間の路線バスが、この鹿乗橋の上を走っていた。

鹿乗橋G

港アクルス

 港区役所のすぐ西のエリアに、大きな再開発事業が進められている。「港アクルス」という。アクルスはAQULSで「AQUA」「LINK」「SMART」の3つの言葉を合成した名前である。住宅、商業施設、スポーツ施設、教育・医療・福祉施設、防災施設などが複合的に整備される。
 このエリア33haは、昭和12年(1937)に「汎太平洋平和博覧会」の会場としてスタートした。昭和15年(1940)から平成10年までは東邦ガスの工場として使われていた。平成27年に開発の都市計画が決まり、いろいろな事業が動き出している。

港アクルスマップ

 昨年秋に、目玉施設「ららぽーと」がオープンして“まちびらき”が行なわれた。4階建て、物販・飲食合わせて5万5000㎡もの大型ショッピングモールである。関東を中心に事業を展開するスーパーマーケットであるが、この地方初の出店を果たした。第2号は、東郷町で建設を始めている。
 港アクルスのもうひとつの特色は、エネルギーを効率的に利用することである。「スマートエネルギー」と呼ぶ。得意のガスのコージェネレーションや太陽光などで発電し、廃熱やヒートポンプのエネルギーを冷暖房に利用する。ネットワーク情報を使って最適なエネルギー制御運転を実施することにより、低炭素のまちを実現するという。

港アクルスG


季節通信37早咲きの桜

区画整理

 土地区画整理事業は、新しい街を造る事業のひとつである。田畑や山林あるいは宅地の区画を整理することにより、整然とした街を生み出す手法である。地主は敷地面積を減らされるが(減歩という)土地の価格は上昇する。減歩により生み出された用地は道路や公園などの公共施設となる。
 現在、我が家の目の前で区画整理の工事が行なわれている。「東郷中央土地区画整理事業」といい東郷町が進める「セントラル開発」の核となる事業である。施行面積43.4ha、施行期間は平成26年から35年までである。

区画整理マップ

 東郷町は名古屋に隣接する丘陵地で、近年、住宅地としての供給は増えている。しかし、鉄道の駅が無く、中心となる商店街もない町であった。町役場や福祉施設などに隣接するこの地域も、田畑や山林であり、街らしい形態とは言えなかった。
 この事業により、都市計画道路「名古屋春木線」沿いに店舗が建ち並び、交通の便を図るためにバスターミナルもできる。しかし何といっても最大の目玉は「ららぽーと」(上はイメージ図)である。関東を中心とした大型ショッピングモールであるが、最近は中部地方にも進出している。今月1日に着工し、2020年の秋にオープンが予定されている。

ナディアパーク

 市制100周年を記念して平成元年(1989)に開催された「デザイン博覧会」を契機として、名古屋市は「デザイン都市宣言」を行なった。ナディアパークは、その内容を盛り込んだ“国際デザインセンター”事業として建てられたビルである。平成8年に竣工している。
 地上12階・高さ70mのデザイン棟と、23階・108mのビジネス棟のツインタワーで、真ん中にガラス張りのアトリウムがある。アトリウム内広場の公開空地と南にある矢場公園は、階段と幅広いデッキでつながれている。(右の鳥瞰写真は、日建設計が作成した「栄地区ジオラマ」の一部である)

バディアG

 階段の中央に、金色に輝く大きな具象の彫刻が立っている。作者は、日展理事長も務めた文化勲章受章者・富永直樹氏である。守山区在住の篤志家夫妻が、青少年に夢を持ち続けてほしいと寄贈された。作品名は「夢の女神」である。
 幅広のデッキは、道路空間に光を入れるために大きな穴が空いている。ここには建築以前から植えられていたシイノキの大木が残されている。ナディアパークの敷地は、もともと前津中学の分校(夜間は中央高校)であり、南の矢場公園と一体的に利用されていた。名古屋の戦災復興都市計画事業では、より広い防災空間を確保するため、学校と公園とがセットで配置されている。

ナディア マップ


季節通信36桃の節句


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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:「園長さんのガーデンライフ」
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