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東海道金谷宿

 江戸時代に描かれた「東海道金谷宿案内絵図」と、現代の「現況地図」とを並べると、驚くほどに一致している。もちろん新たな道路や鉄道は付け加えられているが旧東海道はそのまま、昔の面影を辿ることができる。街道沿いに、いくつかの塚や御堂も残っている。

金谷宿マップ

◆鶏頭塚・・・金谷坂の入り口にある。蕉風を広めた俳人「巴静」の句“曙も 夕ぐれもなし 鶏頭華”を記す石碑。
◆庚申堂・・・鶏頭塚の奥にある。古くから土地の人々に信仰されてきた仏堂。庚申とは、陰陽五行説に基づく「干支」のひとつで、道教では延命長寿にご利益のある特別の日という。
◆長寿・すべらず地蔵尊・・・金谷坂の石畳は“すべらない!!”ということから、受験や商売の願いが叶うようにと、町民によって据えられた。
◆芭蕉句碑・・・牧の原台地のお茶畑に立っている。「野ざらし紀行」より“馬に寝て 残夢月遠し 茶の烟”の句を記す石碑。
◆一里塚跡・・・延享3年(1746)の「東海道巡覧記」によれば、“金谷一里塚榎木”とある。現在は、鉄道の土手になっていて看板が立つのみである。

金谷宿G

諏訪原城跡

 南アルプスは、南へ行くに従って標高を下げ、先端は御前崎となって遠州灘に突き刺さる。東海道は、御前崎まで出っ張っている山地を乗り越えなければならない。牧の原台地から大井川下流の三角州平野ヘは、急な坂道を下っていく。先回の金谷坂の石畳は、まさに急な坂道だった。
 金谷坂を登りきったところに「諏訪原城跡」がある。標高220mほどに立地するこの城は、島田の平野と東からの東海道を見張る絶好の位置にある。甲斐の国から、南の駿河を望む武田信玄が砦を築き、天正元年(1573)に勝頼が家臣に命じて築城した。

諏訪原城マップ

 “つづら折れ”となって下る県道381号の南に、雑木林と竹藪があって“城跡”の案内看板が立っている。看板がなければそれと気付かないような、ただの森である。しかし道標や説明板に沿って歩くと、次第に城郭の姿が解ってくる。自然地形によって守られた「後ろ堅固な城」なのである。
 徳川家康に攻め落とされた後、牧野城と改名されて使用されたが、平和な時代となって廃城となった。しかし現在も三日月堀や外堀・内堀、馬出などの地形が明確に残っている。
 近年、“城”というと歴史的な検証もせずに、観光的な“天守閣”風な建物を建てる例が多いけれど、地味かもしれないがこのような史跡の方が好ましく思われる。

諏訪原城G

旧東海道「金谷坂の石畳」

 昨年連載した「大井川鐵道を遡る旅」は、途中の「長島ダム」までで終わっている。交通手段は車であり、大井川鐵道にも乗っていないので今度は鉄道の旅にしようと思った。先回は春先だったので、紅葉の時期にしようと考えたのだが残念ながら時間がとれず落葉期になってしまった。
 新幹線と東海道本線を乗り継いで、まず降り立ったのは金谷駅である。ここから大井川鐵道に乗り換えるのだが、本数が少なく待ち時間があったので、駅近くにある「旧東海道石畳」を歩くこととした。駅の真上の国道473号から見ると駅舎の遠くに見事な富士山を望むことができる。

金谷坂石畳G

 国道沿いにさらに進むと大きな縦看板があり、旧東海道石畳への入り口を教えてくれる。この石畳は、台地の上にある「日坂宿」と大井川沿い低地の「金谷宿」間の「金谷峠の坂道」に敷設されている。江戸幕府が、近郷集落に助郷を命じて、旅人の便宜のために整備したものである。
 近年、この道はコンクリート舗装などに変わってしまい、石畳は30mほどになっていた。しかし平成3年になって、町民600人の参加を得て「平成の道普請」が行われ、430mの石畳が復元された。石の大きさは私の登山靴と同じくらい、直径30cmほどの山石である。現在、島田市の史跡に指定されている。

金谷坂石畳マップ
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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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