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伊勢湾岸自動車道「トゥインクル橋」

 伊勢湾岸自動車道路が木曽三川の最下流部を渡るところに、ユニークな2本の橋が架かっている。「トゥインクル木曽川橋」と「トゥインクル揖斐川橋」である。長良川はというと、少し上流で揖斐川と合流しているので2橋となっている。
 2橋は同じ構造・デザイン、同じ幅員(33m)であるが、「木曽川」の方は5径間(柱は4本)1145m、「揖斐川」は6径間(柱は5本)1397mである。合計約2500mという長大な橋で、「名港トリトン」や「豊田アローブリッジ」と並ぶ重要な橋である。

トゥインクル橋G

 どちらも同じ「PC・鋼複合エスクトラドーズド橋」と呼ぶ、世界初の型式である。外観は「斜張橋」に類似していてケーブルが斜めに張られているが、一般のものより角度が緩い。主塔の高さも低い。桁の剛性が高く、構造的には「桁橋」に近いという。
 大きな特徴の一つは、「プレストレストコンクリート(PC)」と「鋼」による複合である。橋脚付近は剛性の高い「PC桁」とし、中央部分は軽量な「鋼箱桁」としている。(写真の赤い矢印がその境界である)もう一つの特徴は施工方法で、コンクリート桁を5mのブロックにして架設する方法で、これにより作業効率が向上している。(黄色い矢印)

トゥンクル橋マップ

堀川の「熱田記念橋」と「御陵橋」

 今度は堀川です。最下流部、「宮の渡し」湊の近くに2本の橋があります。このあたりまで来ると川幅もずいぶん広くなるので、橋長も長くなります。水も見た目には綺麗になりますし、周辺も公園が多くてみどり豊かな景観になります。
 堀川右岸(西側)には、「国際会議場」と、その南に「白鳥庭園」があります。ここはかつて貯木場(「白鳥貯木場」2013年3月6日参照)があったところで、埋め立てて造成しました。国際会議場と熱田公園(県営)を結ぶ橋が架かっています。「熱田記念橋」という名の吊り橋です。

堀川マップ

 東側の着地点は、県営「熱田神宮公園」の中にあります。県の意向として、公園につながる橋の対岸は公園である必要があります。他の用途の土地と公園を橋でつなぐことはできません。国際会議場用地のその部分は、都市公園としました。「白鳥公園」といいます。
 その南の「御陵橋」は、川岸の遊歩道から白鳥古墳に向けて架かる橋です。桁橋ですが、アーチ橋のように中央が高くなっています。これは堀川を船舶が通行しやすいようにしたものだと思われます。このあたりの護岸には桜がたくさん植えられていて、その時季には花見客で賑わいます。

堀川H

山崎川の鼎小橋と萩山橋

 山崎川は、日本さくらの会が指定する「日本さくら名所100選」に選ばれている。愛知県では、ほかに鶴舞公園・岡崎公園・五条川(岩倉~江南~大口)が選定されている。山崎川の桜は、護岸と歩道にも植えられているので、花のトンネルを散策することができる。
 お花見は、沿道が住宅地であることから「宴会」などは禁じられている。他の名所と異なり、花を愛でながらの散歩を楽しむことになる。地下鉄新瑞駅から歩くと、瑞穂運動場のラグビー場から陸上競技場を経て、鼎小橋へと進む。夜はライトアップもされていて、夜桜も綺麗である。

マップ山崎川

 「鼎小橋」は木の桁橋である。米松の集成材が使用されている。長さ約23m、幅は2mと細い。ただし下から見ると、構造上は鋼材で表面を木材で覆って雰囲気をつくっているのである。この橋から見る桜の景色も素晴らしいけれど、橋自体が「添景」として撮影スポットになっている。
 鼎小橋の一本南に「萩山橋」が架かっている。見るからに頑丈そうなコンクリート橋である。欄干がユニークで、桜の花びらを象った白いモニュメントが取り付けられている。桜に包まれた鼎橋を撮影するのに絶好のポジションになっている。

山崎川G

松の傷痕

 先日(8月8日)、中日新聞夕刊「写記・名古屋城~~戦火の記憶~~」の欄に松の木の幹の写真が大きく掲載されていた。「戦時中に燃料にするため、松やにを採取した跡」との説明がある。名古屋城内に残る戦争の傷痕である。
 市役所本庁舎北側のクロマツの街路樹にも大きな傷跡が残っている。この傷はさらに大きく、木肌の部分には「ウルシ掻き」と同じような斜めの切り傷も見ることができる。傷痕は車道側にあるので、歩道を歩く人には気付きにくいかも知れない。

マツの傷痕G

 私が街路樹の担当だった35年ほど前には、強風等による折損・倒壊を防ぐために太い鉄線で保護されていた。現在の様子を見ると、傷痕の周りの樹皮部分のカルスが肥大し、強度も上がっているように見える。樹木自身が78年の間に補強を遂げたのである。
 戦時中に、松の根から採れる「松根油」や幹を傷つけて採取する「松脂」を戦闘機の燃料にしようと考えたのだが、結果はあまりうまくいかなかったようである。出雲に旅行した時に、大社の前の並木や日御碕の赤松林でも同じ光景を見た。全国的に指令が出たのであろう。

マツの傷痕H


御深井丸の乃木倉庫

 10年ほど前、瀬戸の焼き物を訪ね歩きました。とある窯元の展示場で「御深井焼き」という表示があったので、「おふけやき」と呟いたところ、店の方がビックリされました。‟今まで誰も正確に読んだ人がいない!“と。名古屋城北西部「御深井丸」を「おふけまる」と呼ぶので知っていたのです。
 「おふけやき」は、藩主が城内などで作る「御庭焼き」の一つです。窯が「御深井丸」にあったのでしょう。何人かの陶工が担当したとのことですが、今でも残っているのはこのお店だけのようです。父君が伝統的な焼き物を、娘さんが現代アートな陶磁器を制作していました。

乃木倉庫G

 昨日の夕刊「名古屋城の連載」の中に、「乃木倉庫」の話題が載っていました。名古屋空襲が本格化すると、名古屋城管理事務所は本丸御殿の「襖絵」や「天井板絵」を御深井丸にある「乃木倉庫」に疎開したのです。この倉庫は元々弾薬庫であり、壁の厚さが60cmもあるのです。
 おかげで、1000点以上もの障壁画を守ることができました。再建成った「本丸御殿」には、この残された文化財の「複製」(専門家が作成)が飾られています。乃木倉庫は、お城の見学コースから奥まった所にありますが、貴重な「歴史の語り部」ですので是非訪ねていただきたいと思います。
 ≪2014・6・21乃木倉庫参照≫

ハンガリーでの日本庭園整備

 私事ですが、6月中旬から1か月間ハンガリーに行っていました。ブダペストから西へ1時間半ほど走った「ベスプレム」という町です。近くに、バラトン湖という琵琶湖ほどの湖と「ヘレンド」という磁器で有名な村があります。娘の家族と暮らすことと、日本庭園の整備が目的です。
 日本庭園整備事業は、「欧州文化首都」の一環として企画されたものです。娘がこのプロジェクトの通訳をしていて、その関係で私にオファーしてきたものです。欧州文化都市とは、1985年のアテネを皮切りに、毎年持ち回りで文化的事業を展開するもので、今年はベスプレムが選ばれたのです。

庭園ブログ用G

 30日間で設計図作成から材料調達、自力による施工まで行いました。現地の造園屋さんが手伝ってくれる予定でしたが断られ、すべて自前で行うことになってしまったのです。何とか、石を運ぶクレーン車だけは借りれましたが、あとは家族と日本語教室の生徒さん3人の協力で造りました。
 一番大変だったのは、800kgもある石の運搬と据え付けです。灯籠はネットでドイツから輸入しました。延べ段の板石と玉石を見つけるのにも苦労しました。過去に日本庭園整備の設計や監督は経験しましたが、整備まで行ったのは初めてです。10月にオープンセレモニーがあるそうです。

庭園ブログ用H

尾瀬の木道

 昨日の中日新聞の夕刊に、尾瀬の「歩荷(ぼっか)」の記事が載っていた。私も学生のときに、北アルプスで1度だけ経験したことがある。数10年を経て、初めて尾瀬に行ったときに出会ったこともあり、懐かしく思い出した。
 山小屋への物資運搬は、ほとんどの山ではヘリコプターが主流だが、尾瀬では環境保護のため歩荷が主力だという。100kgもの荷物を背負って、10kmの山道を登る。左下の写真の段ボール箱を見ていただきたい。

尾瀬G-3

 私の57年前は、たかだか30kgの荷物だった。それでも一度休憩で座ると、立ち上がるのに人の手を借りなければならない。「一本立てよう」というのが休息の合図である。手に持つ「杖」(Y字形)を地面に立てて、荷物の荷重を身体から移す。座らずに立ったままの姿勢で一息つくのである。
 尾瀬ヶ原は、東京電力が水力発電の人口湖にするために購入したという。しかし、貴重な高層湿原と湿原植物を破壊するという声が高く、そのまま保存したのである。植物が踏まれて傷まないように「木道」が設置されている。必ず2列作られているが、それはすれ違いと追い抜きのためである。

尾瀬H

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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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