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名古屋港の高潮防波堤

 昭和34年 (1959) の伊勢湾台風では、5千人近くの犠牲者を出したが、その多くは高潮による水死者であった。最大風速75m、最低気圧は895hPaという猛烈な台風で、紀伊半島から伊勢湾を通り、能登半島へぬけるというコースも最悪であった。
 伊勢湾に到達した時刻も悪く、ちょうど大潮の満潮時に重なっていた。海面は低気圧により吸い上げられ、南から吹き付ける強風のため、高波が伊勢湾北部に押し寄せてきた。さらに悪いことに、この湾はV字型をしているので、押し寄せた海水が折り重なるように堤防を乗り越えたのである。

高潮防波堤マップ

 この反省を踏まえ、災害復興の中で 「高潮防波堤」 が建設された。これは、名古屋港の入口を横切るもので、船舶の通り道は開けながら、西から 「鍋田堤」 「中央堤」 「知多堤」 の3本からなるものである。中央にあるポートアイランドもその一翼を成している。総延長は7.6km、海面からの高さは6.5mであった。
 ところが、建設後50年を経た現在、堤防は老朽化し地盤沈下を起こしているところも出てきた。
今後予想される台風による高潮や、南海トラフ巨大地震による津波を考えて、2017年までに補強工事が行なわれた。これにより、防波堤の高さはNP8.0mということとなり、名古屋港の主要部分はより防護されることとなった。ただ、これで全ての備えができたわけではなく、防波堤より外の区域や河川への遡上などによる被害も予測され、さらなる防災対策が必要と考えられている。

高潮防波堤G
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 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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