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半田赤レンガ建物

 ヒガンバナの咲く矢勝川から1kmほど南へ行ったところに、巨大なレンガ造りの建物がある。明治31年 (1898)にビール会社が建造したもので、今では幻となってしまった 「カブトビール」 を製造していた工場である。(現在上映中の宮崎駿監督作品 「風立ちぬ」 の中に、名古屋駅前の 「カブトビール」 広告塔が登場する。)
 地上5階建ての煉瓦造りで、建築面積は約3,500㎡、現在は一部解体されたために約2,800㎡である。使用したレンガの数は、国内最多の東京駅に次ぐ、約300万個であったという。明治建築界三巨頭の一人、妻木頼黄 (つまきよりなか) の設計によるものである。

半田レンガ建物a

 ビールをつくるには室内を低温に保ち、湿度もなるべく変化させないようにする必要がある。そのため、外壁は非常に厚い5層の複壁で、内部に空気の層をもつ構造である。北側の壁の断面が見えるようになっていて、長さが分かるようにメジャーが貼りつけてあり、それによると168センチもの厚さである。

半田レンガ建物c

 この工場は、昭和19年には中島飛行機製作所の衣料倉庫となり、戦後はコンスターチ加工の工場となっていた。平成6年までは使用されていたが、それ以降は廃止となり、建物は解体されることになった。一部の解体が進む中、市民からの撤去を惜しむ声が強まったので、半田市は買い取って保存する方針とした。平成16年には国の登録文化財となり、21年には、近代化産業遺産に認定されている。

半田レンガ建物マップ

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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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建設・補償コンサルタント

プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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