fc2ブログ

Entries

旧名古屋高等裁判所

 明治になって、日本の司法制度が確立する中で、各地に裁判所が建設された。名古屋では明治11年、丸の内地区に木造の裁判所ができた。大正11年(1922)になって、煉瓦造りの建物が、名古屋控訴院(正式には「名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所庁舎」)として完成する。
 建築様式はネオ・バロック、赤い煉瓦に縁取りは白い御影石、屋根は天然スレートの黒である。中央には緑青色に変色した銅板葺のドームが聳えている。同じころに全国で8か所(宮城・東京・大阪・高松・広島・長崎)の控訴院が出来たが、古い建物が今も残るのは札幌と名古屋だけである。

高裁マップ

 この建物にも危機があった。1970年台になると、高等裁判所(控訴院)の建替え計画が持ち上がったのである。手狭になった裁判所建物を、現地で改築するには旧庁舎は取り壊す必要があるとして、1979年、国は取り壊し撤去を決定する。それに対し、有識者や市民に惜しむ声が高まった。
 名古屋市は新庁舎を現地建替えでなく、官庁街にある公園に移転することを提案し、旧庁舎は保存する方針を希望した。用地が交換され、建物は残されたまま名城公園の一部に編入された。旧庁舎は改修工事が施されたのち国の重要文化財に指定され、現在は市政資料館として再活用されている。
(蛇足ですが・・・都市公園を廃止するには、代替の公園を用意する必要があります。この件は、うまく用地交換ができたので交渉が成立しました。)

季節通信112ネジバナ
関連記事

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://chubu-fukken.com/tb.php/771-747b7faa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
▲ページトップ

Appendix

カレンダー

04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

コンパクト月別アーカイブ

最新記事

         

建設・補償コンサルタント

プロフィール

FC2USER480348EQK

Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック

        

検索フォーム

QRコード

QR
▲ページトップ