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犬山城崖下の橋と隧道

 犬山城は、木曽川から切り立った崖の上に聳えている。船で着岸して攻めようにも、鎧兜を着て崖を登ることは不可能であろう。そのような崖を切り裂いて、昭和4年(1929)に観光のための道路が造られた。城の東には、濠を兼ねた郷瀬川が流れている。その河口部に「彩雲橋」が架けられた。
 岩盤をコンクリートで補足しながら橋台と橋脚を築く。鉄材は、鉄道のレールを利用している。2連のアーチ橋、緑色に塗装された瀟洒なデザインである。橋上を走っていると、手すりがコンクリート製なので、ごく平凡な橋にしか見えない。しかし下から眺めると、3mほどの滝とともに一服の絵画のようである。今年、土木学会選奨の土木遺産に認定された。

犬山の橋G

 一方通行の狭い道を西に進むとトンネルがある。長さ20mほど、幅も高さも2.5mほどと小さな「隧道」であるが、何と手掘りで穿ったものである。トンネルの壁はモルタルなどが塗られておらず、岩盤が剥き出しである。ここの地層はチャートと呼ばれる堆積岩であり、その褶曲を見ることができる。
 このトンネルは、道路開通のために掘ったものではなく、名古屋市が木曽川から水道を引くため造った取水口を管理するために穿ったものである(大正3年完成)。現在は使われていないが、水門のローラーゲートが今も残されている(写真の矢印)。観光道路整備に当たり、この古いトンネルが利用されたのである。

犬山隧道GG

季節通信142スズランノキ
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ブログを始めるに当って

 私ども「中部復建」は、戦後から一貫して土木施設の計画設計に携わってきました。地域の皆さんに、より身近に土木を感じて頂きたく先人が残してくれた土木遺産等を訪ね歩き≪中部の『土木文化』見てある記≫として、皆さんに紹介していきたいと思い、このブログを発信する事としました。  

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プロフィール

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Author:FC2USER480348EQK
森 田 高 尚
昭和21年6月 半田市生まれ
平成12年 東山植物園長
平成17年 名古屋市緑地部長
平成19年 中電ブルーボネット園長
平成24年 中部復建技術顧問
技術士:(建設部門・環境部門)
公園管理運営士 
著書:『園長さんのガーデンライフ』
監修:『世界一うつくしい植物園』
 (著者:木谷美咲)
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